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平成19年1月 第2260号(1月24日)

「今日の私学財政」(学校法人基礎調査結果)を公表
  帰属収支差額0以下の法人数27.4%と悪化

 学納金・補助金が減少、寄付金は増加

日本私立学校振興・共済事業団(鳥居泰彦理事長)は、昨年十二月、学校法人の財務状況の推移や傾向についてまとめた報告書『今日の私学財政』(平成十三年度〜平成十七年度)を公表した。この報告書は、各学校法人が提出した「学校法人基礎調査」のうち、財務関係について集計・分析したもの。同報告書によると、少子化の下、人件費等を抑制しているものの、十七年度の消費収支状況をみると、帰属収支差額がゼロ又はマイナスの法人数は一三八法人で二七・四%が消費支出を帰属収入で賄えない状況であった。

▽大学法人
 一法人当たりの資産は十五年度以降増加傾向にあり、内訳では、十三年度から十七年度にかけて、有形固定資産、流動資産、その他の固定資産のうち、その他の固定資産が九・一%増加している。構成比率をみると、流動資産はやや下降しているが、その他の固定資産はやや上昇した。その他の固定資産の構成比率の上昇は、学校法人が引当資産等の蓄積を図っている状況がうかがえる。
 一法人当たりの負債総額は、十三年度から五年間で七億一二〇〇万円(九・二%)減少した。内訳をみると、固定負債が八・九%減少し、流動負債が九・八%減少している。
 一法人当たりの基本金は十四年度以降増加しており、十三年度と比べると十七年度は二四億八一〇〇万円(六・四%)増加した。
 一法人当たりの消費収支差額の支出超過額は、十三年度の一七億六〇〇〇万円から十七年度の三二億二三〇〇万円へと八三・一%増加し、構成比率も十七年度は七・一%減となり、過去五年間で最大となった。
 次に、消費収支の状況をみると、一法人当たりの帰属収入は、十七年度は十六年度に比べて一億五七〇〇万円増となっており、寄付金の増加が目立っている。少子化に伴い学生生徒等納付金が減少しており、補助金、手数料も減少の傾向にある。
 一法人当たりの消費支出は、十三年度から続いた減少傾向から、十七年度には増加に転じている。各学校法人は消費支出の大半を占める人件費の抑制に努めており、十三年度の五六億四〇〇万円から十七年度には二億五〇〇〇万円(四・五%)減少した。
 帰属収入に対する人件費の割合は、十三年度の四九・九%から十七年度の四九・四%へと〇・五ポイント下降した。一方、教育研究経費は、十四年度以降その割合が上昇傾向にある。
 また、帰属収支差額比率は下降傾向にあり、十三年度の九・九%から十七年度は七・八%と二・一ポイント下降している。
 なお、十七年度の一法人当たりの基本金組入額は、十六年度に比べて二九〇〇万円(二・一%)増加している。
 基本金組入れ後の消費収入と消費支出を比べ、消費支出が消費収入より多い大学法人数は、十三年度の二七三法人から十七年度の三三九法人(集計五〇四法人の六七・三%)と増加し、帰属収入で消費支出を賄えない法人数は一三八法人(二七・四%)となっており、いずれも収支状況は悪化している。
 学校法人が単年度において消費支出が超過したからといって、すぐに経営危機になるわけではないが、基本金組入れ前に既に消費支出が帰属収入を大幅に超過している状況は、経営が厳しいことを意味しており、収支改善の努力が強く求められる。

 ▽大学部門
 十七年度の一校当たりの帰属収入は、十六年度より四二〇〇万円増加して五七億六七〇〇万円、学生等納付金は十六年度より二九〇〇万円減少しており、手数料、補助金もそれぞれ減少している。その他、寄付金等は増加している。
 十七年度の一校当たりの消費支出は、十六年度より六四〇〇万円増加して五一億三八〇〇万円となった。これは、教育研究経費・管理経費の増加が原因となっている。
 帰属収入は十七年度に増加に転じているが、消費支出の増加の方が帰属収入の増加を上回っている。人件費比率は、十三年度の四九・〇%に比べて十七年度は五〇・〇%とやや上昇している。また、教育研究費比率も十三年度と比べて十七年度は三一・三%と三・八ポイント上昇している。
 基本金組入れ後の消費収入と消費支出を比較すると、十七年度は、消費収支差額がゼロ以下の大学部門数は五四七校中二六四校(四八・三%)で、帰属収支差額がゼロ以下の大学部門数は一六五校で三〇・二%となっている。
 なお、報告書では、学校法人、大学部門については、医歯系の額に大きく左右されるため、医学部又は歯学部に係る数値を除外した集計も別にまとめている。

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