平成18年11月 第2254号(11月22日)
■理研、外部評価受ける 研究は世界のトップレベル
理研の研究は世界最高峰の研究機関に匹敵―理化学研究所(野依良治理事長)の活動に対する、国際的な外部評価委員会(第六回理研アドバイザリー・カウンシル(RAC))の議長ザック・W・ホール教授(カリフォルニア再生医科学研究所・所長)からの評価結果が、理研に提示された。
理研は、これまでにも個々の研究活動・プログラムごとの外部評価を進めている。RACは、理研全体の活動と運営全般に対してレビューを行い、理事長へ提言を行うもので、平成五年の第一回後、その提言を組織改革に反映させてきた。
このたびの第六回は、六月七日から九日の三日間、東京都内で開催され、多様な分野をカバーする国内外の世界的科学者が委員として参加した。RACの提言の趣旨は五つの提言からなり、概要は次のとおり。
提言1a:科学と技術の強化
▽「発見と革新」というセンター及び研究所の中核使命を守り育てること。
▽研究所の方針やイニシアチブにより引き続き内部協力を支援・奨励すること。
▽専門家を増員するとともに、簡単にアクセスできる理研全体の総合データベース、及び共通のデータスタンダード、データ公開方針を作り、バイオインフォマティクスを強化すること。
提言1b:科学的統治の強化の継続
▽科学的優先順位を決める手続をさらに強化すること。
▽理研内の最高意思決定レベルで科学的価値観を強くかつ明解に表明すること。
▽外部のアドバイザリー・ボードを広げて大学や研究機関の代表も参加するようにすること。
提言2:理研の科学系人材及び科学文化を充実させること
▽女性科学者、特に日本人女性科学者の採用増を目指す、先を見越した努力を継続・強化すること。
▽ジュニア及びシニアレベルで日本人以外の人材を採用する努力を継続すること。
▽理研全体で科学的事項や事務的事項の両方について英語の使用を増やすこと。
▽国際大学院の開設の可能性を含め、理研で受け入れる大学院生を増やす最適な手段を検討すること。
提言3:社会に対する理研の貢献度を増すようにすること
▽医療機関との提携を拡大し、理研の発見したものをさらに治療に活かせるようにすること。
▽引き続き技術移転を進め、理研の発見したものが、有用な製品や経済活動を通じて社会に役立つようにすること。
▽一般市民に科学と理研について知ってもらう教育活動を拡充すること。
▽科学分野においてアジア諸国と連携関係を築くこと。
提言4:理研の認知度と国際的地位の向上
▽必要に応じて外部のコンサルタントや専門家を起用してコミュニケーションを支援・拡大すること。
▽世界に向けて理研の認知度を高める努力を強化すること。
▽強力な理研「ブランド」を構築すること。
▽理事長が理研の国際大使として力を発揮すること。
提言5:理科系文化と人文系文化の交流の推進
▽理研の様々なセンターや研究所、キャンパスでコンサートや展覧会といった文化的催しを推進すること。
▽科学の価値観や実際について、又好奇心や美学、「日々の生活や宇宙の意味や構造を明らかしたい」という欲望など、人間的な価値観を満足させる「人間」事業としての科学について、もっと広く日本の文化層を啓蒙する構想を継続すること。