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平成18年11月 第2254号(11月22日)

第570回理事会 予算・税制改正要望実現対策などを協議
  文科省・磯田私学部長ほか担当官招き開催

教育再生会議などの審議動向など注視

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、十一月十日、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントにおいて、第五七〇回理事会を開催した。年末の私学関係予算、税制改正要望等の実現対策の協議に当たり、文部科学省の磯田文雄私学部長をはじめ担当幹部を招き、要望事項に関わる文科省の考え方及び連携の在り方、さらに、教育重視路線を進める安倍晋三内閣の動向等を視野に、今後の推進方策を協議した。そのほか、被用者年金制度一元化に伴う新三階年金、学校法人活性化・再生研究会等の審議動向、さらに、同協会創立六〇周年記念事業の運営についてなど多岐にわたる協議が行われた。

 開会に当たり大沼会長は、「安倍内閣に代わり、“教育再生”に関わる種々の問題も起こっている。十二月になると予算・税制改正問題も大詰めを迎える。今日は磯田私学部長をはじめ、文科省の方々にお話を伺い、効果的な今後の対応をしていきたい」などと挨拶した。
 協議に先がけて、新任の理事として小田一幸東京造形大学理事長が紹介されて挨拶した。
 協議事項に移り、はじめに文科省の磯田私学部長が挨拶に立ち「かつて大沼会長や清水 司先生とは一緒に高等教育に関わる仕事をさせていただいたことがありうれしく思います」と述べ、引き続き文科省の各担当官から説明が行われた。
 まず、科学研究費補助金について、同省研究振興局学術研究助成課の磯谷桂介課長が説明した。競争的資金増の傾向があり、平成十九年度は間接経費の拡充として、対前年度一六二億円増(基盤研究(B)一〇二億円、同(C)六〇億円)の新規要望、また、若手研究者支援の充実として四三億円(若手研究(S)二二億円)の新規要望等をしていると述べた上で、私立大学が獲得する科研費の五割は間接経費が未措置の基盤研究(B)、(C)であり、全国私立大学の特色ある研究の支援をする意味からも間接経費は必要であると語った。また、近年問題となっている科研費の不正使用等の防止のためにも実現させたいと強調した。
 併せて、高等教育に対する公財政支出の国際比較に触れ、我が国の対GDP比約〇・四%は欧米諸国の二分の一の水準でしかないと述べた。
 なお、科研費全体で二一一億円増の要望に対する財務当局の反応は厳しく、楽観はできないとし、要望の論理的根拠を固めて、今後に臨みたいとも述べた。
 次に、予算・税制改正要望の全般的な動向について同省私学行政課の石ア宏明課長補佐が説明した。同氏は、財務省のヒアリング等は相当厳しいとの感想を述べるとともに、自民党の文部科学部会と教育・文化・スポーツ関係団体委員会合同会議の私学団体のヒアリング等も行われ、今後は政治的な動きになるとし、私学団体とも連携して要望実現に向けがんばりたいと述べた。そのほか、教育再生会議の審議動向も注視し、積極的に対応していくこと、学校法人債問題は、私学団体の意見集約を待って対応していく方針であることなどを説明した。
 このことに関連して大沼会長は、「我々はすでに理事会で原則として反対の意見まとめをしており、他団体とも意見集約していきたい」との方針を述べた。
 予算・税制改正要望の文科省各担当官の説明の後、小出事務局長が、札幌での総会以降、一か月間の要請活動等として、自民党三役をはじめ主要幹部、教育再生担当の山谷えり子首相補佐官、伊吹文明文科大臣等に対して私学振興への理解を訴えたことなど、総会の総意に基づく対応の経過を説明し、今後の活動に反映させていきたいと語り、これらの推進方策は承認された。
 次に、被用者年金制度一元化に伴う新三階年金の制度設計の在り方の協議では、小出事務局長からの経過説明の後、同省私学行政課私学共済室の山下 馨室長が基本設計の方向等概略を述べ、続いて日本私立学校振興・共済事業団の佐藤憲昭理事が、基本設計案の再検討課題(対象者、適用の仕方〈任意加入、強制加入〉など)の問題点を解説し、今後さらに検討を重ねていくとし了承された。
 さらに、未履修問題に関連して、入学者選抜における調査書の取り扱い、平成十九年一月四日以降の一〇万円を超える振込みには本人確認が必要となることなどについて、同省大学振興課大学入試室の八島 崇入試第一係長が説明した。
 学校法人活性化・再生研究会の審議動向については、「中間まとめ」以降、同協会の廣川利男副会長が分科会長となり、テーマに沿って実務的視点から審議することになっているが、同協会が、「中間まとめ」に対して私大発展構想委員会を中心に取りまとめた意見案を小出事務局長が説明するとともに、「世界に冠たる我が国の学校法人制度の根幹を揺るがすことのない基盤整備に向けた施策」の観点が重要であるとし、私学事業団発足時の私学振興の精神に立ち返っての議論の必要性を強調した。
 さらに、教育再生会議に向けて、株式会社立大学の全国化への反対や国立大の定員の在り方・入学者選抜の日程、私立大と国立大の授業料較差・国費投入較差など、十分に議論を踏まえた上で意見具申していくことも考えたいと述べ、これらの対応は承認された。
 協議事項の最後に、十一月三十日に実施する同協会の六〇周年記念事業の運営については、記念式典・記念祝賀会の全般にわたっての日程確認を行うとともに六〇周年記念誌の内容等について協議の上、了承した。
 なお、定例の十二月の理事会は休会とし、次回理事会は平成十九年一月二十六日(金)に開催することが決まった。
 報告事項に移り、入学金・授業料返還問題、「グローバルCOEプログラム委員会」専門委員候補者の推薦、また、各種研修会の実施について、@大学教務部課長相当者研修会(十月十一日実施)、A事務局長相当者研修会(十月十八日実施)、B大学経理部課長相当者研修会(十月二十五日実施)、さらに、支部総会等の実施について、@関東地区連絡協議会(十月二十七日実施)、A中国・四国支部総会(十一月二日実施)、B北海道支部総会(十一月六日実施)がそれぞれ報告されて閉会した。

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