平成18年11月 第2253号(11月8日)
■平成18年度 文化勲章に荒田氏ら5人 文化功労者、伊藤氏ら15人
文化勲章
荒田吉明(あらた よしあき)82歳。
高温工学・溶接工学。大阪大学名誉教授。熱源特性と熱加工特性を究明し、「熱加工法」と「新溶接工学」の体系を確立した。文化功労者。日本学士院会員。兵庫県神戸市在住。
大山忠作(おおやま ちゅうさく)84歳。
日本画。とりあげる題材は多岐にわたり、写生を踏まえた平明で骨太な描写が独自の芸術的境地を示しており、高く評価される。文化功労者。日本芸術院会員。東京都新宿区在住。
篠原三代平(しのはら みよへい)87歳。
日本経済論。一橋大学名誉教授。東京国際大学名誉教授。日本のマクロ経済についての事実をベースにオリジナルな仮説を立て、これを実証し、政策を論じた。文化功労者。東京都武蔵野市在住。
瀬戸内寂聴(せとうち じゃくちょう)84歳。
小説。出家得度後には、自身の切に生きる姿によって独自の文学世界をつくりあげ、斯界の発展に大きく貢献した。文化功労者。京都府京都市在住。
吉田秀和(よしだ ひでかず)93歳。
音楽評論。戦後まもなくから「モーツァルト―出現・成就・創造」や「ロベルト・シューマン」等の評論を雑誌に掲載。日本の音楽評論の先導的役割を果たした。文化功労者。神奈川県鎌倉市在住。
文化功労者
伊藤 覺(いとう ひでさと)82歳。
流体工学。東北大学名誉教授。従来経験法則の積み重ねであった管内流れの研究で、工学上有用な法則又は公式を多数導いた。日本学士院会員。宮城県仙台市在住。
高倉 健(たかくら けん、本名・小田剛一)75歳。
映画。寡黙と剛直さを兼ね備えた個性を独自の魅力に高め、日本映画に新生面を拓き斯界に大きく貢献した。東京都港区在住。
金森博雄(かなもり ひろお)70歳。
地球物理学。カリフォルニア工科大学名誉教授。地震現象に対する微視的・巨視的側面からの研究、さらには津波、火山噴火・大気と固体地球との相互作用など、先駆的な研究を行った。カリフォルニア州在住。
栗山昌良(くりやま まさよし)80歳。
オペラ演出。国立音楽大学名誉教授。作品の音楽性やドラマ性に正攻法で向き合う演出で数々の優れた舞台を創出し、我が国オペラの発展向上に多大な貢献をした。東京都世田谷区在住。
黒川紀章(くろかわ きしょう)72歳。
建築。メタボリズム建築理論に沿った、増築、取替えの可能な建築に取り組み、昭和四十五年大阪万博でカプセル住宅を提唱する。日本芸術院会員。東京都港区在住。
斯波義信(しば よしのぶ)76歳。
東洋史学。(財)東洋文庫理事長。宋代の商業史を基礎としつつ、欧米における歴史学界の斬新な研究方法や問題意識を取り入れ、中国史研究に問題提起をした。日本学士院会員。埼玉県志木市在住。
木聖鶴(たかぎ せいかく、本名・木郁太)83歳。
書。書家として日本や中国の古筆、名筆を研究し、美しく気品のある、かなを追求、独自の書風を打ち立て、日本の書の発展に貢献した。岡山県総社市在住。
朝倉 摂(あさくら せつ、本名・冨澤 攝)84歳。
舞台美術。歌舞伎、大劇場演劇、新劇、オペラから小劇場演劇に至るまで幅広いジャンルの舞台美術を手掛けた。東京都渋谷区在住。
中重 忠(なかにし しげただ)64歳。
神経科学。(財)大阪バイオサイエンス研究所所長。京都大学名誉教授。未知の領域であった神経伝達の基本的なメカニズムと脳・神経機能制御の分子メカニズムを世界に先駆けて明らかにした。京都府京都市在住。
中村芝翫(なかむら しかん、本名・中村榮次郎)78歳。
歌舞伎。歌舞伎女方として精進を重ね、数多くの舞台で秀でた演技のほか、関係団体の要職も務め、歌舞伎の伝承、発展振興に貢献している。日本芸術院会員。東京都港区在住。
根岸 (ねぎし たかし)73歳。
経済理論・経済学説史。東京大学名誉教授。理論経済学に対する深い理解に基づき、学説史研究のフロンティアを開くなど、現代の経済学の発展に貢献した。日本学士院会員。東京都港区在住。
丸谷才一(まるや さいいち、本名・根村才一)81歳。
小説。特筆すべき功績は、明治から大正にかけて日本の文壇に形成された私小説的な伝統を根底から覆したことにある。日本芸術院会員。東京都目黒区在住。
松原謙一(まつばら けんいち)72歳。
分子生物学・学術振興。(株)DNAチップ研究所代表取締役社長。大阪大学名誉教授。生命科学の二つの大きな流れである遺伝子組換え技術及びヒトゲノム計画において先駆的、指導的役割を果たした。大阪府吹田市在住。
森 健一(もり けんいち)68歳。
情報技術・技術経営。東京理科大学教授。元(株)東芝常務取締役。かな漢字変換方式による日本語ワードプロセッサを日本で初めて開発、日本語のコンピュータ処理という、日本の社会と文化に様々な大きなインパクトを与えた。神奈川県横浜市在住。
山崎正和(やまざき まさかず)72歳。
劇作・評論。大阪大学名誉教授。劇作家、評論家として、幅広い独自の視点による作風を確立し、演劇界に新生面を拓いた。また、教育界にあっても斯界の発展に寄与した。兵庫県西宮市在住。