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平成18年10月 第2250号(10月18日)

運動等の回数(20年前と比較)が減少 17年度体力・運動能力調査

 文部科学省は十月八日、平成十七年度体力・運動能力調査の結果を発表した。調査は平成十七年五〜十月(小・中・高校生は五〜七月)にかけて実施され、六歳から七九歳までの七万四一九四人を対象に体力と運動能力について調べたもの。それによると、一一歳の運動・スポーツの実施頻度の割合について二〇年前と現在を比較すると、週に三日以上運動する者の割合は、男女とも低下している。

1、調査結果の概要

 (一)
体力・運動能力の加齢に伴う変化の傾向
  男女とも六歳から加齢に伴い体力水準は向上傾向を示し、男子では青少年期(一二〜一九歳)の後半にピークに達するのに対して、女子では青少年期の前半にピークに達し、その後数年間体力水準を保持する傾向を示している。
  その後、男女とも二〇歳以降は体力水準が加齢に伴い低下するが、四〇歳代後半からは著しく低下する傾向を示している。
  なお、握力については、他の項目が男女とも青少年期にピークに達するのに対して、男子では三〇〜三四歳、女子では四〇〜四四歳と、それぞれ成年期にピークに達する。
 (二)
体力・運動能力の年次推移の傾向
 
(1)
青少年(六〜一九歳)
  長期的に年次変化の比較が可能な基礎的運動能力としてみた走能力(五〇m走・持久走)、跳能力(立ち幅とび)、投能力(ソフトボール投げ・ハンドボール投げ)及び握力等の体力・運動能力は、いずれの年齢段階においても依然低い水準にある。なかでも、持久的な走能力(持久走)及び跳能力(立ち幅とび)は引き続き明らかな低下傾向を示している。
(2)
成年(二〇〜六四歳)
  「握力(筋力)」、「反復横とび(敏捷性)」、「急歩(全身持久力)」について、その年次推移を長期的にみると、「握力」は一定の傾向はみられず、「反復横とび」は緩やかな向上傾向であるが、「急歩」は全体的に低下傾向がうかがえる。
 

2、調査結果の特徴

  一、青少年

 (一)
小学生の二〇年前との比較
  一一歳の基礎的運動能力(「五〇m走」、「ソフトボール投げ」)及び体格(「身長」、「体重」)について二〇年前と現在を比較すると、「身長」、「体重」は男女とも二〇年前に比べ向上しているが、「五〇m走(走力)」、「ソフトボール投げ(投力)」は低下している。
 (二)
小学生の運動・スポーツの実施頻度からみた二〇年前との比較
 
(1)
一一歳の運動・スポーツの実施頻度別に基礎的運動能力(「五〇m走」及び「ソフトボール投げ」)について二〇年前と現在を比較すると、運動実施頻度に関わらず体力は男女とも低下している。また、「ほとんど毎日(週三日以上)」運動する群は、男女とも二〇年前と比べて体力の低下の度合いが小さいが、運動実施頻度の少ない群は、体力の低下の度合いが大きい傾向を示している。
(2)
一一歳の運動・スポーツの実施頻度の割合について二〇年前と現在を比較すると、「ほとんど毎日(週に三日以上)」運動する者の割合は、男女とも二〇年前より低下している。
 (三)
中・高校生の二〇年前との比較
  一二〜一七歳の基礎的運動能力(「五〇m走」、「持久走」、「ハンドボール投げ」)について、二〇年前と現在を比較すると、全体的に男女ともに二〇年前に比べ低下傾向を示し、なかでも持久走の低下が顕著である。
 (四)
体力と生活習慣との関係
  六〜一七歳の持久力(二〇mシャトルラン)を朝食摂取状況別、一日の睡眠時間別、一日のテレビ視聴時間別にみた。
 
(1)
朝食を食べる群(「毎日食べる群」)の折り返し数は、男女とも年齢にかかわらず食べない群(「時々食べない」及び「毎日食べない」をあわせた群)より高い値を示している。
(2)
六〜一一歳において、一日の睡眠時間が「八時間以上」の群の折り返し数は、男女とも「六時間未満」の群より高い傾向にあり、一五歳以降において、「八時間以上」の群の折り返し数は、男女とも他の群より低い値を示している。
(3)
一日のテレビ視聴時間が「三時間以上」の群の折り返し数は、男女とも他の群に比べて低い傾向を示している。
 

  二、成年及び高齢者

 (一)
運動習慣からみた体力
  二〇〜六四歳及び六五〜七九歳において、運動・スポーツを実施(週一日以上)している群やスポーツクラブに所属している群の新体力テスト合計点は、男女とも全ての年代において運動・スポーツを実施していない群やスポーツクラブに所属していない群よりも高い値を示している。
 (二)
運動習慣及び体力の変化
  二〇〜七九歳において、運動・スポーツを実施(週一日以上)している群の割合について、七年前(平成十年度)と現在を比較すると、どちらの年度も五〇歳頃から加齢に伴い男女ともその割合は増加傾向を示すとともに、ほとんどの年代において七年前より現在の方が高い割合を示している。
  また、新体力テスト合計点は、七年前より男女とも向上の傾向を示している。
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