平成18年10月 第2249号(10月11日)
■大学・承認TLOの特許出願7352件(2005年)
過去5年間で約4.8倍に急増
我が国の大学と承認TLOの出願件数は、二〇〇五年において七三五二件で、前年比六〇%増と大幅に増加していることが、特許庁の調べでわかった。これは、同庁が毎年発行する「特許行政年次報告書」の二〇〇六年版によるもの。ここでは、同報告書の第一部に記載されている「大学における活発な知的財産活動」について掲載する。
大学等の行う基礎研究に対する産業界の期待と、新たな使命である社会貢献に対する大学等の意識の高まりの中で、産学連携の取組は着実に進展している。
国立大学等と企業との連携を示す共同研究件数は、二〇〇五年度は一万一三六二件であり、前年度に比べて二一%増加し、過去最高となった。受託研究件数についても、二〇〇五年度における受託研究件数は、九〇〇八件、受入総額は九七二億円であり、前年度の七七二億円から二六%増加している。
知的財産の面では、二〇〇四年度の国立大学法人化に伴う発明成果の原則機関帰属化の推進により、大学における知的財産活動は急激に活性化している。現在、法人化された多くの大学で研究成果を社会還元するための知的財産の管理部門や、産業界との連携の窓口となるリエゾンオフィスの設置等を推進しており、大学の知的財産に関する取組は拡大している。
特許出願について見ると、我が国の大学と承認TLOの出願件数は年々増加しており、二〇〇五年の出願件数は七三五二件と、二〇〇四年の四六〇四件から大幅に増加した(前年比六〇%増加)。我が国の大学と承認TLOからの特許出願件数は二〇〇一〜二〇〇五年の過去五年間で約四・八倍と急速に伸びており、我が国の大学における知的財産管理体制が整備されるとともに、学内の研究者の知的財産意識が高まった結果、大学の研究成果を知的財産権として適切に権利化し、社会での活用を図っていくための基盤整備が着実に進展してきたことを示している。
また、二〇〇四年の特許出願件数を技術分野別に見ると、光学、電子部品、バイオの順に出願が多くなっている。
大学・承認TLOの特許出願に対する審査結果の状況を見ると、二〇〇五年の特許査定件数は三七六件で特許査定率は六〇%であり、全出願人の特許査定率より一一ポイント程度高い値を示している。
今後は、これまでに進展した知的財産活動の実効性を高めるべく、特許性だけでなく活用も見据えた出願戦略を構築するとともに、重要な発明に関しては二〇〇四年で二五%のグローバル出願率を伸ばして海外でも積極的に権利化を図っていく等、更なる戦略的な特許管理を図っていくことが重要である。また特許出願件数の増加に伴って、実施料収入の更なる増加も今後期待される。