平成18年9月 第2247号(9月27日)
■結婚と出産に関する全国調査 −独身者調査−
国立社会保障・人口問題研究所ではこのほど、第一三回出生動向基本調査「結婚と出産に関する全国調査−独身者調査」の結果概要を発表した。調査対象は全国の年齢一八歳以上五〇歳未満の独身者で調査は平成十七年六月一日。
1、結婚という選択 −若者たちの結婚離れを探る−
- (1)
- 過去に減少傾向にあった「いずれ結婚するつもり」、「ある程度の年齢までには結婚するつもり」の未婚者割合は横這いか、わずかながら取り戻しを示している。しかし、当面の結婚に対しては主な年齢層で「まだ結婚するつもりはない」とする未婚者が継続して増えている。就業の状況別にみると男性では正規雇用者や自営業等で結婚意欲が高く、非正規就業者や無職で低い傾向が顕著である。
- (2)
- 結婚することには利点があると考える未婚者がやや増えた。若い層を中心に「子どもや家族をもてる」ことに利点を感ずる人が増えたことなどによる。この結婚に利点を感ずる割合も就業状況で違いがあり、正規雇用者で高く、非正規就業者や無職で低い傾向がある。
- (3)
- 未婚者が独身にとどまっている理由は、若い年齢層を中心に「仕事(学業)にうちこみたいから」が継続的に増えていて、女性でより顕著である。前回に比べると「適当な相手にめぐり会わない」や、男性では「結婚資金が足りない」がやや増えた。
2、パートナーシップ −ゆらぐ男女のかかわり−
- (1)
- 未婚男性の過半数、女性の四割強は異性の交際相手を持っておらず、この割合は女性で今回やや増えるなど、異性交際の状況は低調なまま推移している。ただ今回、これまで減少傾向だった結婚したいと思う交際相手を持つ未婚男性の割合がやや増えた。
- (2)
- 同棲していると回答した未婚者は男女とも二%前後といまだ少数派だが、過去に同棲を経験した割合はわずかずつ増え、二〇歳代後半以降は男女ともほぼ一割に達している。
- (3)
- 未婚者の性経験率は、これまで増加傾向にあり、女性で顕著であったが、今回調査では、男女とも頭打ちの傾向となっている。
3、希望の結婚像 −どんな結婚を求めているのか−
- (1)
- 未婚者が結婚したいと思う年齢は上昇が続いていたが、今回調査ではおおむね上げ止まっており、男性ではわずかに下がる傾向も見られる。
- (2)
- 男女とも自分と近い年齢の結婚相手を望む傾向が強まっていたが、今回調査では女性でこの変化傾向に一定の休止が見られ、一段落を示している。
- (3)
- 未婚の女性が理想とするライフコース、実際になりそうだと考えるライフコースでは、ともに仕事と育児の両立コースが増加した。男性が女性に期待するコースでも両立コースが三割近くに達し、専業主婦を望む人は急速に減少している。また、理想、予定とも両立コースを選択する未婚女性は、正規雇用者など安定した仕事に就いている人に多いが、理想と予定の間には一定のギャップが見られる。
- (4)
- 未婚者が持ちたいと望む子どもの数は近年一貫して減少してきたが、今回調査では男女ともに下げ止まりが見られた。また、今回初めて女性の希望子ども数が男性を上回った。
- (5)
- 希望子ども数は、男性の自営業で多い傾向があり、男女とも非正規就業者、無職・家事で少ない傾向が見られる。また、本人のきょうだい数で差が見られ、一人っ子や二人きょうだいに比べて三人以上のきょうだいの場合に希望子ども数が多い傾向がある。
4、未婚者の生活と意識 −若者たちを取り巻く状況と意識−
- (1)
- 未婚者の親との同居率は、近年男性で上昇を示したが、今回調査ではおおむね横這いとなった。女性では年齢により傾向が異なり、従来低かった三〇〜三四歳の同居率が上昇する傾向がみられた。
- (2)
- 未婚男性の親との同居率は就業の状況により異なり、無職・家事、自営業等、パート・アルバイトで高く(八〇%台)、正規雇用、学生で低い(六〇%台)。女性では、学生を別にすると就業の状況による同居率の差は小さいが、やはり無職・家事、パート・アルバイトで高い傾向が見られる。
- (3)
- 一八〜三四歳の未婚女性の五人に一人は、妊娠や出産にかかわる健康について問題や障害を感じている。最も多いのは月経にかかわる問題で、三〇歳代では婦人科系の障害や不妊を心配する人も多い。
- (4)
- 未婚者の結婚・家族に対する意識は、概して家族・結婚を支持する意識に復調が見られる。「生涯独身はよくない」「同棲するなら結婚すべき」「離婚はすべきでない」「子どもは持つべき」「結婚に犠牲は当然」などで支持が増えている。しかし「夫は仕事、妻は家庭」と考える人は継続的に減少している。