平成18年9月 第2247号(9月27日)
■足利工業大学
自然エネルギー施設を地域に公開
小・中で環境学習に活用
近年、世界的に地球環境問題への関心が高まりつつあり、環境に負荷を与えないクリーンなエネルギー源として、太陽光や風力などの自然エネルギーが注目されている。
足利工業大学(吉田忠雄学長)では、学科を越えて自然エネルギーについて、様々な啓発と利用普及を行っているが、特に各種の小型風車が回る「風と光の広場」は、注目すべき取組みである。
「風と光の広場」は一九九五年三月、太陽光発電と風力発電の公開型野外実験施設として開設されたが、二〇〇一年五月に、「太陽」と「風」に加えて「水」と「木」をテーマとした施設を加えてリニューアルした。その後も、珍しい風車など新たな設備が追加設置され、年を追うごとに充実しつつある。同施設は、小・中学校の「総合的学習」の時間を利用した環境教育の見学会、高等学校の風車製作実習、小型風力発電機の製作・導入を視野に入れた企業の研修会、途上国からの研修生の「適正技術」に関する見学会など、年間約三〇〇〇人に利用されており、最近ではその見学・実習プログラムが、科学技術振興機構のサイエンスキャンプのカリキュラムとしても採用され、三泊四日で風力発電やソーラークッカーの講義と製作実習を高校生対象に行っている。このカリキュラムはこれまで五回開催され、参加者からはエネルギーの大切さやものづくりの楽しさを体験できたと好評であった。また同機構の「サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト」事業や「スーパー・サイエンス・ハイスクール」事業へも積極的に参加している。
同大学では環境負荷の小さな自然(再生可能)エネルギー利用システムの導入を各地で進めているが、自然エネルギーは一般にその入力が不安定であることから、導入量制限されているのが現状である。そこで、二〇〇三年度に相互補完効果はあるものの、自然条件に依存する風力と太陽光に加え、人為的に入力を調整できる木質バイオマスガス化発電システムを組み合わせたトリプル・ハイブリッド発電システムを提案し、これにより電力の安定供給の実証試験を行っている。
同大学総合研究センターの西沢良史氏は、「人間と地球の共生を目指して、今後も自然エネルギーの導入は活発に行われると予想されますが、誰もが地球環境問題を自分自身の問題として受け止め、狩猟型エネルギー社会から栽培型(再生可能型)エネルギー社会へと考え方を変える必要があります。「風と光の広場」では、これからも自然エネルギーを体験できる場を提供し、情報を公開していきます」と述べる。
なお、この「風と光の広場」は自由に出入りでき、誰でも自然エネルギーが体験できるようになっている。