平成18年9月 第2247号(9月27日)
■麻布大学
獣医学部棟竣工 学びて実践する
麻布大学(村田元秀理事長、政岡俊夫学長)は、獣医学部の教育研究の中核施設となる獣医学部棟を建設し、去る九月五日に竣工式を行った。
式当日は、政岡学長らの式辞の後、小出秀文日本私立大学協会事務局長、酒井健夫私立獣医科大学協会会長(日本大学生物資源科学部学部長)をはじめ、山根義久專本獣医師会会長、佐々木伸雄專本獣医学会理事長らが来賓として出席し、祝辞を述べた。
同大学は一八九〇年に東京の麻布(古川橋付近)に獣医師養成の学校として開設され、今年で一一六年の歴史をもつ。この間、「獣医の麻布」と称された麻布獣医科大学の時代を経て、今日では、獣医学部、環境保健学部、大学院及び附属高等学校を併せもつ大学へと発展している。私学の個性・特色は、その建学の精神にあると言われる時代にあって、同大学もまた、創立者である與倉東隆が提唱した、獣医学教育は単に学問の探究に終わることなく、その成果を実社会に役立たせる実学重視の精神を今に受け継ぎ、「学理の討究と誠実なる実践」を教育理念としている。
また、「地球共生系:人と動物と環境の共生をめざして」という教育目標を掲げ、生態系と人間社会との接点において動物を介し、人の健康社会に寄与する分野の教育研究に取り組んでいる。
昨今の獣医学及び動物応用科学に対する社会のニーズは、伴侶動物への高度獣医療の提供、ヒトと動物の共通感染症の防疫や動物性食糧の安全・安心の確保、動物を用いた人の健康影響に関するアニマルセラピーや動物愛護・福祉に関する教育研究など、高度化かつ多様化してきている。同大学では、これらのニーズに応え、人材養成のために、実践の場となる「獣医臨床センター」を平成十一年に竣工。そして、永らく待ち望んでいた教育研究の場となる「獣医学部棟」が完成した。
このたび竣工した獣医学部棟は、鉄筋コンクリート造基礎免震構造・地上七階、延床面積が約二万平方メートルの耐震性を充分に考慮した建築物である。この中に、獣医学科及び動物応用科学科の三五研究室、基礎教育系の六研究室をはじめ、八実習室、一一実験サポート室、七共同利用室、一〇ゼミ室などのほか、二会議室、電子顕微鏡室、自習室、ロッカー室、シャワー室等が配置され、高度で先端的な教育研究が行える環境となっている。この施設と併設する獣医臨床センターの二つがコラボレイトすることにより、同大学の教育理念である「学びて実践する」機能が完成した。
今後は、これらの機能を充分に活かし、高度で多様化する獣医学、動物応用科学領域の新たな教育研究分野にチャレンジし、社会のニーズに応えうる人材輩出が同大学の使命でもある。