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平成18年9月 第2245号(9月13日)

“協議会のあり方”などを討議

私大環協が第21回夏期研修研究会

 私立大学環境保全協議会(会長:野上祐作岡山理科大学教授)は、去る八月三日・四日、岡山理科大学において、第二一回夏期研修研究会を開催し、「地球温暖化への対応」や「協議会のあり方」等をテーマに、活発な意見交換が行われた。同協議会の加盟大学等から一三〇名をこえる参加があった。

 地球温暖化問題は、二酸化炭素が原因の一つとされ、産業革命以降のその濃度は上昇を続けている。その結果、二一〇〇年に気温が一・四度から五・八度上昇し、海面が九センチから八八センチ上昇することが予想されている。これを受けて一九九七年に、日本は二〇〇八年から二〇一〇年の期間に一九九〇年水準から六%を削減することなどが盛り込まれた京都議定書が議決された。しかしながら、二〇〇四年時点で日本の二酸化炭素排出量は八%増加し、二〇一二年までに計一四%の削減が必要となっている。
 福原 実岡山理科大学工学部教授は、特別講演「地球温暖化問題と材料化学」の中で、二酸化炭素の削減に、炭酸化反応を利用した材料合成を提案した。セメントの原料でもある炭酸カルシウムや水酸化カルシウムは、二酸化炭素と反応するが、その際にはエネルギーを必要としない。これを応用すれば、産業副産物の有効利用と二酸化炭素の削減を同時に行えるという。
 神戸学院大学では、地球温暖化対策として、室温の適正設定や消灯等の徹底を行うとともに、屋上緑化、雨水利用、人感センサー等を行っている。また、新たに建設するポートアイランドキャンパスでは、断熱性が高い設計、照明の省エネ化、中央監視でのエネルギー管理機能の充実、空調熱源の高効率化等を組み込むなどといった取組みが紹介された。
 また、ビル管理における省エネルギー対策等の観点から、(株)ビルブレイン、ライオンビルメンテナンス(株)等から解説があった。
 二つ目のテーマである、「私立大学環境保全協議会の今後のあり方」については、四名の関係者による発表とグループ討議などが行われた。同協議会は研究・教育現場から排出される廃棄物全般に渡って対処するため、情報交換の場として私立大学二四大学によって一九八五年に「私立大学環境対策協議会」として発足した。一九九九年には「教育研究活動による環境負荷の低減」「社会的責任の自覚」を明文化して「環境保全協議会」に名称変更を行い、二〇〇六年三月一日現在で一五四大学、企業四四社へと拡大している。
 今後の同協議会のあり方として、西村弘行北海道東海大学長は、NPO法人化と共に、産学官連携による共同研究やシンポジウム等を行っていくことを提案した。また、同志社大学の村上正毅教授は、国立大学中心の「大学等環境保全協議会」と、「環境」「安全」「衛生」を共通のテーマとした連携や、環境NPOや学生の環境ボランティア団体などと連携し、地域での環境問題解決のための講演会等を行うことなどを提案した。法政大学環境センターの山田佳男氏は、大学における統合型の環境マネジメントの構築を提言、環境関連業務に関する統括部門スタッフの育成と研修プログラムの必要性を訴えた。また、これらの提言等を踏まえて、二日目にはグループ討議・パネルディスカッションが行われ、今後の同協議会のあるべき姿について活発に議論された。
 また、加計学園の赤木靖春専務理事より、「大学運営と環境」と題した課題講演も行われ、六大学を有する加計グループとしての大学相互の協力、資源の共有化などについて発表した。
 なお、一日目の最後には懇親会が行われ、活発な意見交換が行われた。

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