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平成18年9月 第2245号(9月13日)

中四国支部で分科会

大原美術館理事長が講演

 日本私立大学協会の中国・四国支部(支部長=石田恒夫広島経済大学理事長・学長)では、去る八月二十一日と二十二日の二日間にわたり、岡山県倉敷市の倉敷アイビースクエアにおいて、平成十八年度の分科会を開催した。

 同支部の恒例となった、この分科会は、昭和五十八年十一月の開催以来、二四回目を迎え、今年は、くらしき作陽大学を当番校に、支部所属二九大学から、二八大学の事務局長相当者、就職部課長相当者、教務部課長相当者、学生生活指導部課長相当者、経理部課長相当者ら一四四名が出席して熱心な研修が行われた。
 一日目は午後一時に始まり、石田支部長から「私立大学を取り巻く環境は、ますます厳しさを増している。本日ここに集まった大学が、おのおのの大学の建学の精神を十分に発揮し、お互いに切磋琢磨しながら共存の道を選びたい。今後の大学は職員の意欲・資質にかかっており、十分な情報交換を行い、実り多い研修となるよう期待する」旨の挨拶があった。その後は、当番大学の、くらしき作陽大学から、松田英毅理事長・学長の歓迎の挨拶、正木秀明事務局長代理によるオリエンテーション、そして、平岡建二支部事務局長からの分科会の運営についての説明、さらには座長の紹介と進められ、基調講演に移った。
 はじめの基調講演は、同協会の小出秀文事務局長により「私学振興上の当面する諸課題」と題して行われた。同氏は、今年、創立六〇周年を迎えた同協会の歩みについて話した後、高等教育の展開状況と今日的課題、教育基本法の改正問題、構造改革関連問題、中央教育審議会等の審議動向と対策等、第三者評価問題、私学経営を巡る諸問題、私立大学関係政府予算・税制改正関係などについて、資料に沿って詳細に解説した。
 続いての基調講演は、日本福祉大学の篠田道夫常任理事により「経営戦略の遂行と職員の新たな役割」と題して行われた。同氏は、危機の時代を切り開く経営戦略の策定と推進について、なかでも職員の役割については、同大学の具体例を引用した。出席者一同は、これからの職員の新たな役割に関する多くの示唆に富んだ話に熱心に聞き入り、両氏に対して惜しみない拍手が送られた。
 休憩の後は五つの分科会に分かれた。▽事務局長相当者分科会では、高年齢者雇用安定法の改正に伴う雇用延長義務化への対応、人事考課の実施状況、勤務成績に基づく昇給制度の導入、教員組織の在り方、ジョブローテーション、学務・コンプライアンス、年俸制・任期制、教員の裁量労働制の導入状況、非常勤講師・嘱託職員等有期雇用契約を締結する場合のトラブル防止対策、収益事業、耐震対策、学長裁量予算等について、▽就職部課長相当者分科会では、内定に伴う拘束、キャリア教育、一年次からの就職指導、アセスメント(適職診断テスト)結果の活用、ガイダンスの実施及び内容、インターンシップの運営等について、▽教務部課長相当者分科会では、初年次教育、履修登録、試験関係、単位認定評価等について、▽学生生活指導部課長相当者分科会では、学内美化、学生のマナー、違法駐車・駐輪、学生自治会、大学祭、学生データの管理、奨学金関係等について、▽経理部課長相当者分科会では、経理処理関係、財政安定化策、学納金関係、税制関係、予算関係、情報公開関係等についてなど、提案された多くの協議題について、熱心に討議が進められた。
 続く教育懇談会では、情報交換の輪ができ、来年の下関での再会を約して終了した。
 二日目は午前九時から、財団法人大原美術館の大原謙一郎理事長により「地方と文化と中四国の大学経営を考える」と題して講演が行われた。同氏は「日本では、全国各地で生まれ育った事業が、何年、何十年の時を経て国を背負う企業に成長し、経済を支えてきた。また、創業の地は、いずれも地域の歴史の中で、豊かな文化を育ててきた場所である。大学に関して言えば、地方と私立であることが、とても意味深く、全国各地の個性ある大学には是非とも勝ち残ってほしい」と述べた後、大原美術館の「第三創業」と非営利事業の経営革新に触れ、講演終了後には会場から拍手が沸き起こった。
 その後は、平岡支部事務局長からまとめの挨拶があった後、前日に引き続き五つの分科会に分かれての熱心な意見交換が行われ、二日間の日程を終了した。
 なお、研修成果については、例年どおり分科会報告書にまとめられる予定である。

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