平成18年9月 第2245号(9月13日)
■「大学発 知のODA」提唱 文科省・国際教育協力懇談会
文部科学省の国際教育協力懇談会(木村 孟座長)は、八月末、「大学発“知のODA”〜知的国際貢献に向けて〜」と題する報告を取りまとめて公表した。
同報告は、開発途上国の教育開発に対する国際世論の高まりや感染症、災害、食糧、エネルギーなど地球規模の問題の顕在化等を踏まえ、(1)今後の国際教育協力の在り方、(2)国際協力における大学等が有する「知」の活用等について取りまとめたもので、第一章「議論の背景」、第二章「我が国の特色が活きる戦略的な教育協力の推進」、第三章「我が国の大学が有する『知』の活用」から成る。このうち、同報告のポイントである第三章の概要は次のとおりである。
▽「目利き人材」によるコンサルテーション=大学の有する知的な援助リソースに関し、専門的な見地から技術的なアドバイス等を実施。その際、援助機関や大学OBなどのシニア人材も活用。
▽援助リソースの活用のための支援=大学の援助リソースに関し、途上国のニーズに応じて研究成果等の改善や実証・実験を行うための資金の提供。
▽「知の見本市機能」の創設=援助に役立つ大学の援助リソースに関する情報を一覧化し、援助機関等・大学が情報共有・意見交換できる場を整備。
▽「知的ネットワーク」の形成=援助機関等と大学のネットワーク化を進め、我が国の大学が総体として開発途上国のニーズに柔軟かつ的確に応えられる「知的ネットワーク」を形成。
▽プロジェクト・コーディネータの育成=大学における国際協力活動の企画・実施を担当するプロジェクト・コーディネータを発掘・育成。
これらの具体的方策を通して、大学の「知」を活用した組織的な国際開発協力の促進のための「サポートセンター」プロジェクトを強化するなどして、国際貢献のための「知的コミュニティ」構築の必要性を提言している。