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平成18年9月 第2244号(9月6日)

教員養成・免許制度の改革など 初中局と生涯学習局の概算要求

 1面に掲載のとおり、文部科学省は八月末に平成十九年度政府予算の概算要求を財務省に提出した。初等中等教育局では小学校の英語教育の充実や教員養成・免許制度改革の推進などが、生涯学習政策局では放課後子どもプランの創設や教育分野における再チャレンジの支援などが、それぞれ新たに要求された。概要は次のとおり(カッコ内は前年度予算額との比較増減分で、△は減を表す)。

初等中等教育局
 1、世界トップレベルの義務教育の保証
 (1)全国的な学力調査の実施等=一一五億五三〇〇万円(八六億三一〇〇万円)【一部国立教育政策研究所に計上】―すべての児童生徒の学習到達度を把握するための全国学力・学習状況調査を実施するとともに、学力調査の技術基盤の構築に向けた取組や調査結果を活用した検証改善サイクルの確立のための研究等を実施する。
 (2)国語力の育成、理数教育の充実など総合的な学力向上策の推進=一九〇億四二〇〇万円(一〇一億一〇〇万円)―世界トップレベルの学力水準を目指し、学習指導要領全体の見直し、学力向上アクションプランの推進など、「確かな学力」の育成に総合的に取り組む。
 (3)子どもの読書活動の推進=九億五三〇〇万円(七億二三〇〇万円)
 (4)小学校の英語教育の充実に向けた条件整備=三七億五一〇〇万円(新規)―拠点校・拠点施設を中心とした取組の推進、指導者研修等を実施する。
 (5)学校評価システムの構築=七億六三〇〇万円(一億八三〇〇万円)―学校が自ら改善を図るとともに、説明責任を果たし、設置者等が必要な支援を行うための学校評価システムを構築する。
 (6)教員養成・免許制度の改革など教員の資質能力の向上=三億七七〇〇万円(新規)―教員免許更新制の導入に対応するための全国的な教員免許管理システムの導入に向けての調査研究、教職実践演習(仮称)等の定着を図るためのモデル事業、教員養成・免許制度改革の趣旨を周知する広報事業を実施する。教員養成課程については、事前の認定審査の充実、認定後の実地調査の充実など事後チェックの強化及び是正勧告や認定取消しを可能とする仕組みの整備などを行う。
 2、豊かな心の育成
 (1)豊かな人間性や社会性をはぐくむ長期宿泊型体験活動等の推進=一七億九七〇〇万円(七億四八〇〇万円)―児童生徒の豊かな人間性や社会性、命を大切にする心や他人を思いやる心、規範意識等、豊かな心の育成に向け、体験活動の推進、道徳教育の充実などに総合的に取り組む。
 (2)いわゆる「キレる」言動などの問題への対応の推進=一億五〇〇〇万円(新規)―脳科学等の成果の教育への応用・実践に向けたコホート研究の実施、教育と研究の連携システムの構築等を推進する。
 (3)問題を抱える子どもの自立支援や教育相談体制の充実=六三億三九〇〇万円(一五億一七〇〇万円)―児童生徒の問題行動等に対する未然防止、早期発見・早期対応など、生徒指導の一層の充実を図るとともに、自殺防止の取組を強化する。
 3、充実した教育を支える環境の整備
 (1)優秀な教職員の確保及び教育課題に対応するための緊急的な教職員配置=一兆六八四三億八三〇〇万円(八〇億三四〇〇万円)―特別支援教育及び食育の推進に対応するための「教育課題対応緊急三か年対策」を策定し、緊急的な教職員配置を実施する。
 (2)幼児教育に係る負担の軽減(無償化の検討を含む)等幼児教育の振興=二三三億三八〇〇万円(四〇億三九〇〇万円)―幼稚園就園奨励費補助の拡充、幼児教育の保護者負担の軽減策に係る調査研究、幼稚園における評価ガイドラインの作成等を行う。
 (3)子ども一人一人のニーズに応じた特別支援教育の推進=七八億九五〇〇万円(一一億八七〇〇万円)―障害のある子どもの教育的ニーズに応じた支援体制と教職員配置の充実を図る。
 (4)学校のICT教育の一層の推進=一四億三九〇〇万円(七億円)―「IT新改革戦略」等に基づく「学校教育情報化推進総合プラン」を実行する。
 (4)外国人児童生徒教育の充実=二億四〇〇〇万円(新規)―不就学の外国人の子どもの就学を促進するとともに、「JSLカリキュラム」を活用した指導方法の普及・充実を図る。
 (5)新しい学校教育の開発研究=一九億九二〇〇万円(四億六一〇〇万円)―今後の制度改革や政策の基礎をつくるための調査研究を行い、新しい学校教育の在り方について検討する。
 4、自立し挑戦する若者の育成
 (1)各学校段階を通じた体系的なキャリア教育・職業教育の推進=一五億七三〇〇万円(八億一五〇〇万円)―児童生徒の勤労観、職業観を育成するため、地域の教育力を最大限に活用したキャリア教育を推進する。また、専門高校と大学・研究機関等とが連携した将来の地域社会の担い手となる専門的職業人を育成する。
 (2)地域産業等との連携によるものづくり人材の育成=一〇億二〇〇〇万円(新規)―専門高校と地域産業界が連携(協働)してものづくり人材を育成する。
 5、国際的な舞台で活躍する人材の育成=二六四億一五〇〇万円(四二億八一〇〇万円)
 6、義務教育教科書の無償給与=四〇二億五六〇〇万円(七億三四〇〇万円)
 7、人権教育の推進=二億四二〇〇万円(増減なし)
 8、科学技術・理科教育の振興=一五四億八一〇〇万円(八七億二〇〇〇万円)
 9、環境教育の推進=一二億七五〇〇万円(七億一一〇〇万円)

生涯学習政策局
 1、教育改革推進のための総合的調査研究等=六三億五二〇〇万円(一五億三八〇〇万円)
 2、放課後子どもプランの創設=一三七億五九〇〇万円(七一億一五〇〇万円)―「放課後子ども教室推進事業」を創設し、すべての子どもを対象に、原則として全小学校区において、放課後や週末等に余裕教室等を活用した安全・安心な子どもの活動拠点(居場所)を設け、地域の方々の参画を得て、子どもたちと共に勉強やスポーツ・文化活動、地域住民との交流活動等の取組を実施する。
 3、地域の教育力の再生=一七億三二〇〇万円(△八億八四〇〇万円)―住民による「学びあい、支えあう」地域のきずなづくりを促進する。
 4、家庭の教育力の向上=二二億二六〇〇万円(八億五一〇〇万円)―子どもの生活リズム向上や、家庭の教育力向上に向けた総合的な施策を推進する。
 5、再チャレンジに資する教育の推進等=一一一億三七〇〇万円(△七億八六〇〇万円)―大学や専修学校等の協力を得つつ、学習者の再チャレンジに資する学習支援システムを構築するとともに、団塊世代等による「教育サポーター」制度を創設する。
 6、生涯にわたる学習機会提供の推進と基幹施設の運営・整備=七七億一七〇〇万円(七億九六〇〇万円)―国立女性教育会館において「女性アーカイブセンター(仮称)」を構築する。

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