平成18年9月 第2244号(9月6日)
■返奨還学時金控除制度・寄附税制拡充など
文科省関係の税制改正要望
文部科学省は八月末、平成十九年度の予算概算要求とともに、文科省関係の税制改正要望を財務省に提出している。その概要は次のとおりである。
▽教育費負担の軽減
(1)扶養控除の見直しによる家庭の教育費負担の軽減【所得税、住民税】
少子化対策として、(1)所得控除から税額控除に改める、(2)控除額を増額する、(3)子どもが多いほど優遇されるようにする、などの見直しを行う。その際、教育費負担の特に重い一六歳以上二三歳未満の者について重点的に支援。
(2)奨学金返還時における控除制度【所得税】
日本学生支援機構の有利子奨学金事業について、学生本人が卒業後に返還する際、返還金の利子相当額を所得税の税額から一〇年間にわたり控除する制度を創設する。この制度により、同機構における奨学金の円滑な回収が図られることも期待できる。
(3)幼稚園における給食代、スクールバス代の消費税非課税化【消費税】
(4)私学振興等のための寄附税制の拡充【所得税】
個人に対する寄附税制については、所得控除される寄附金額の上限が所得の三〇%までとされているが、米国と同様に五〇%に拡大する。これにより、寄附が活発化し、教育費負担の軽減が図られることが期待できる。
▽文化、スポーツ、科学技術・学術の振興
(1)メセナ促進等のための寄附税制の拡充【所得税】
前掲の(4)と同様の内容であり、民間資金による文化、スポーツ、科学技術・学術等への支援が一層拡大することが期待できる。
(2)文化、スポーツ、研究施設など中核的民間施設に係る事業所税の軽減【事業所税】
(3)重要文化財等の譲渡に伴う所得税の減免【所得税】
(4)(独)国立博物館と(独)文化財研究所の統合に伴う所要の措置【法人税、固定資産税等】
施行は平成十九年四月一日を予定。
(5)ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点に指定された民間施設の固定資産税等の非課税化【固定資産税、都市計画税】
(6)研究所等から発生する放射性廃棄物の処分事業の実施に伴う所要の措置【法人税等】
▽その他
被用者年金の一元化に伴う新たな私学共済年金制度の創設に伴う所要の措置【所得税、法人税等】
被用者年金制度の一元化等に関する基本方針(平成十八年四月閣議決定)に基づき、現行の私学共済年金の職域部分を廃止して新たに設ける年金制度について、現行と同様の税制措置(本人分掛金の全額を社会保険料控除として所得控除すること等)を適用するなど所要の措置を講じる。