平成18年8月 第2242号(8月9日)
■第567回理事会
予算・税制改正 私大経営問題など対応策を協議
創立60周年記念事業案決まる
私学の特色活かせる支援を(芦立私学助成課長)
活性化・再生研9月にシンポ(西井経営相談センター長)
日本私立大学協会(大沼 淳会長)は、去る七月二十八日、東京・湯島の東京ガーデンパレスにおいて、第五六七回理事会を開催し、平成十九年度私立大学関係政府予算要求並びに私学関係税制改善対策について文部科学省の芦立 訓私学助成課長を、また、私立大学の経営問題等について日本私立学校振興・共済事業団(以下、私学事業団)の西井泰彦私学経営相談センター長をそれぞれ招いて、今後の対応方策等を協議するとともに、同協会創立六〇周年記念事業の実施案などを検討した。
はじめに大沼会長の挨拶の後、当日出席の私学事業団の小池啓三郎理事が挨拶に立ち「先の年金一元化問題では、私学の皆さんのご支援のもとで、私学の要望に沿った結果となった」との感謝の言葉を述べ、目下、新しい三階部分の検討を進めていることと、十九年度予算編成の厳しいシーリングの下で、私学事業団の新しい在り方等、私学団体と連携しながら取り組んでいきたいなどと語った。
協議に入り、予算、税制改善対策について、概略を小出秀文事務局長が説明した上で、「私学助成は対前年比で“一%減を基本とする”」の文言については、政治決着の意味あいを強く感じること、また、「定員割れ私大への助成削減」については、概算要求以後も注意深く見守っていきたいと述べた。
予算に関連して、文科省の芦立私学助成課長は、一%削減や定員割れ私大への助成削減等が打ち出されているが、それらのことを私学振興上、どんなスタンスで取り組めばよいのか、私学の皆さんの声も真摯に聞きながら、各大学の特色の活かせるきめ細かな支援等に取り組んでいきたいとの意向を示した。
また、定員割れ問題については、構造的な問題であり、仮りに経常費の配分方法をドラスチックに変えるとしても、現状との差異などシミュレーションが必要であり、今後私学事業団等とも連携をとるなどして、早急につめたいとした。
理事からは多様な意見が出され、協議の後、推進方策は承認された。
次に、私立大学の経営問題について、私学事業団の西井私学経営相談センター長が解説した。
同氏は、はじめに学校法人活性化・再生研究会の取りまとめた中間まとめについて、経営状態のイエローゾーン、レッドゾーン、破綻状態に沿って同事業団としての再生支援、整理促進、破綻処理等の在り方を説明した。
説明の後、同研究会の委員でもある廣川利男副会長から「私学助成の充実等、もう少し私学の立場を盛り込んで欲しい」などの意見が出された。
今後、同事業団ではシンポジウムを開くなどし、最終報告に向けて検討を重ねていくことにしている。
引き続き、平成十八年度私立大学・短期大学等入学志願動向について、入学定員が前年度より九〇〇〇人(二・一%)増加し四四万人、志願者数は前年度より六万六〇〇〇人(二・二%)減少し二九四万九〇〇〇人などの数字を示すとともに、地域別では、大都市圏で志願倍率は高い水準にあるが前年度と比べ志願倍率が上昇した地域はないこと、また、学部系統別では、医学で志願倍率が上昇し、薬学部は学部増設、六年制課程の設置から志願倍率が下降したことなどを解説した。最後に、入学定員充足率が一〇〇%未満の学校数が二二二校(四〇・四%)となり、前年度の一六〇校(二九・五%)と比べて六二校増加しており、前年度以上に厳しさが増していると述べた。
次に、同協会創立六〇周年記念事業については、廣川副会長(企画財務委員会担当理事)から、記念式典、記念祝賀会、記念誌、六〇周年宣言等のほか実施体制などが提案され、承認された。
(財)私学研修福祉会役員・評議員の任期満了に伴う後任候補者の推薦については、小出事務局長が提案説明し、会長一任で了承。
引き続き、同協会への加入申請のあった札幌大谷大学についての協議が行われ、満場一致で承認した。
協議事項の最後に、同協会の第一二五回総会(秋季)について、十月六日(金)、七日(土)に札幌市「京王プラザホテル札幌」で開催されることになり、北海道支部長の森本正夫副会長より挨拶があった。
報告事項では、中教審の「今後の教員養成・免許制度の在り方について(答申)」、私学事業団「共済審査会委員」の任期満了に伴う後任候補者として柴忠義北里大学理事長・学長を推薦したこと、同協会評議員登録変えに伴う協会理事の欠員について、九州国際大学の迎 靜雄前理事長から田賢一郎理事長への交替などのほか、中部支部春季総会、学生生活指導主務者研修会、教育学術充実協議会、競争的研究資金制度に関する協議会等の実施報告が行われた。
最後に、(財)日本高等教育評価機構の原野幸康専務理事・事務局長から、平成十九年度の認証評価へ向けての活動報告があった。