研究成果等の刊行
「国立大学法人化の意味を考える」
講演者:大﨑 仁
はじめに
私学高等教育研究所主幹 瀧澤 博三
第45回の公開研究会では国立大学法人の問題をテーマに取り上げることとし、IDE大学協会副会長の大﨑 仁氏に「国立大学法人化の意味」をテーマとしてご講演を頂きました。
国立大学は法人に移行してから最初の中期目標期間が終了し、既に21年3月には国立大学法人評価委員会によって、中期計画は順調に実施されてきているとの評価が行われたところです。一方文部科学省では、昨年1月から「国立大学法人の在り方に係る検証」を始めており、最近発表されたその「中間まとめ」でも概ね肯定的に評価され、管理運営面や教育研究、社会貢献の面でも一定の成果を収めつつあるとされています。
しかし、これらの評価はいずれも問題を国立大学法人の中に限っており、国・公・私を含めた高等教育全体の在り方は充分視野に入っていません。国立大学の設置形態をどうするかは、単に国立大学のみの問題ではなく、高等教育全体の構造の在り方に関わることであり、本来高等教育のグランドデザインと言うべき大きな視点からの検討が求められているはずです。今日までそのような検討は充分になされず、国・公・私の役割分担の在り方、公費支援の国私格差などの課題も残されたままで、国立大学が法人化に伴い戦略的な経営の姿勢を強めつつあることに疑念を抱く向きは少なくないと思います。
また、国立大学法人化の一方では株式会社立大学という形が出現し、国・公・私というこれまでの安定した設置者別の形は大きく揺れ動いているようにも見えます。そのためか、最近は学校法人のあり方について問題点の指摘や改革の提言が聞かれるようになりました。この際、私学としても学校法人制度の意義をいっそう明確にし、私学の特色ある発展の基盤を固めなくてはなりません。
この冊子は、この公開研究会の記録をまとめたものですが、国立大学法人化の問題点を探り、ひいては学校法人のあり方を考える上で役立てて頂ければ幸いです。
- 大﨑 仁 氏 (IDE大学協会副会長)
【講演】「国立大学法人化の意味」(PDF形式)
- 島 一則 氏(広島大学高等教育研究開発センター准教授)
【コメント】「公開研究会報告 国立大学法人化の意味-大﨑氏の講演から私立大学のあり方を考える」(HTML形式)
*** 「関連資料」部分等は割愛しました。 ***