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特集・連載

大学は往く 新しい学園像を求めて

<208>星槎道都大学
10専攻32のコース制導入
3学部4学科  少人数教育で高い就職率

開学以来、常に時代の要請に沿った変遷を遂げ、社会に貢献できる人材を育成してきた。星槎道都大学(山本一彦学長、北海道北広島市)は1978年に北海道紋別市に社会福祉学部と美術学部の二学部で開学した道都大学が淵源である。2016年、運営する学校法人が星槎グループ(神奈川県)に加わり、17年から学校名を星槎道都大学と改称した。社会福祉学部(社会福祉学科)、経営学部(経営学科)、美術学部(デザイン学科、建築学科)の3学部4学科10専攻32コース。履修モデルをわかりやすく設定したコース制は、来年度から導入する。専門性の高い教育を実現し、専攻専門を超えた他学部他学科の履修もできる。学生と教職員の距離が近く少人数だからこそできる学びや高い就職率と強い大学スポーツなどが特長。「小規模ながらも、実学系、芸術系、そしてスポーツ関連分野といった多様な学びを提供していることが本学の大きな特徴です」と語る学長に学園の歩み、改革、これからなどを聞いた。
(文中敬称略)

強豪の大学スポーツ各部

 1964年、学校法人北海道産業学園が創立され、66年、北海道産業短期大学が北広島市に開学。76年、北海道産業短期大学を道都短期大学と改称。78年、道都大学(社会福祉学部、美術学部)が紋別市に開学。
「社会福祉学部は、独立学部としては日本福祉大学、日本社会事業大学、東北福祉大学、淑徳大学に次いで全国で六番目、美術学部は全国で七番目にできた学部で、当時、北海道ではどちらも初めて設立された学部でした」
91年、道都短期大学を道都大学短期大学部と改称。96年、美術学部を紋別キャンパスから札幌キャンパスに移設。2001年、経営学部開設。05年、社会福祉学部を札幌キャンパスに移設して、全ての学部が札幌キャンパスに集約。
09年、全学部学科をコース制から専攻制へと更改。14年、道都大学通信教育科(指定保育士養成課程・精神保健福祉士養成課程)を開設。
17年、星槎グループへの加入で、星槎道都大学に改称。星槎グループは、大学、高校、中学校をはじめ、公益財団法人世界こども財団、社会福祉法人星槎など様々な教育機関や公益団体を抱え、「共生社会の創造」を目標に掲げる。
現在、3学部に794人の学生が学ぶ。男女比は、男子72%、女子28%。出身地は、道内が71%、東北が6%、留学生が54人いる。
学長の山本が建学の精神を語る。「本学は、先行きの予測が困難な複雑で変化の激しい現代社会に必要とされることを創造するとともに、社会の持続的発展を実現するため学術研究を通じて常に新しい道を切り開き、すべての人々が共生しえる社会の実現に貢献します」
コース制の導入について、「教職員の声を聞くなど議論を重ねました。受験する高校生に学びの内容をわかりやすくするのが一番のねらいです。同時に、留学生に向けた経営学科の日本経営文化コースのように新しく設けたコースもあります。高校の先生方の反応もいいようです」
各学部学科の学び。経営学部・経営学科は、スポーツ、ビジネス、地域振興をキーワードに、二つの専攻(スポーツ・経営)がある。いずれの専攻も実践的な学習機会を重視し、自ら考え、調べ、行動する力を養成する。
「スポーツマネジメントやスポーツビジネス、公務員、一般企業などで活躍できる人材を育成。スポーツソーシャルワーカーとして、企業、地方公共団体、スポーツ団体まで、様々な組織の運営・経営に関わるための知的基盤を養う」
同社会福祉学科は、学生が大学の外で地域の人たちと交わりながら、実践的に学ぶ機会が数多くある。支援を必要とする人びとを見守り支える仕事に必要な知識と心構えを実践的に身につける。
「2年次には『オレンジリボン運動』、3年次には『認知症キャラバン』といった福祉の啓発活動に参加します。充実した対策講座を活用し、社会福祉士をはじめ、精神保健福祉士、保育士など各種資格の取得に励むことができます」
美術学部・デザイン学科は、基礎から学び、自分の得意を伸ばす。三つの専攻と10のコースによるアート・デザイン・イラスト・マンガなどを確かな指導でプロフェッショナルをめざす。
「イラストレーションやマンガを専門的に学ぶことができる専攻があるのは、道内4年制大学では本学だけです。『キャンディキャンディ』などで有名な漫画家、いがらしゆみこさんが客員教授で教えています」
同建築学科は、建物の設計から、インテリアデザインに至るまで、建築に関わる様々な要素をデザインをキーに多面的に学べる。美術学部で建築を学べるのは、北海道では星槎道都大学だけ。
「建築をデザインの視点からも学ぶことができます。将来の目標に合わせて選べる二つの専攻があります。どちらで学んでも、卒業時には二級建築士の受験資格が得られます」
就職率は、99.2%。キャリアサポートは授業と一体となった支援が特徴。キャリア支援センターと教員が密に連携し、学生一人ひとりを個別指導。就職率100%を目指し、資格取得を重視、インターンシップなどの支援も強化している。
各種資格取得を重視
「各種資格の取得にあたっては、学生が必要な科目を計画的に履修できるよう、履修アドバイザーを務める教員を配置しています。社会福祉学科では、2~4年生を対象に社会福祉士国家試験対策講座を開講してバックアップしています」
強豪の大学スポーツ。硬式野球部は、札幌学生野球連盟では1部リーグに所属。昨年秋の明治神宮野球大会では準優勝。北海道勢では、初の全国大会決勝進出となった。
「硬式野球部は、プロ野球選手も送り出しているほか、道内外の社会人野球チームや軟式野球強豪チームへも選手を輩出。今秋から元巨人・二宮至監督が指揮を執っており、リーグ優勝して全国大会出場を狙っています」
柔道部は、今年2月の全国体育系学生柔道体重別選手権大会では、個人戦で複数の選手が上位に食い込んだ。駅伝を中心に実績を重ねる陸上競技部、新コーチを迎えて北海道インカレで優勝を目指すラグビー部も健闘している。
美術系学生も頑張る
美術系学生も頑張っている。「デザイン学科の学生たちは、毎年、『道展』など公募展に応募、最高賞や上位入賞を多数、獲得しています。四年間の学びを集大成した『卒業作品展』も人気で、多くの来場者が訪れています」
地域貢献。学生と教職員が連携しながら、地元北広島市や由仁町、神恵内村などと包括連携協定を締結。神恵内村では、道の駅の施設をデザインし、創作作品を展示したり、作品の販売などを行った。「道の駅の入館者が前年比5%増えるなど地元から感謝されました」
同大の学生がパーソナリティーを務める新番組「Live cafe スカイブルー」が今年スタート。6月には、学長の山本が出演。「北広島の発展に寄与すること、星槎道都大学と学生や市民との懸け橋となること、ラジオを通して学生の精神的成長を促すことを目指しています」
大学のこれから。学長の山本は、実学と地域連携を強調した。「北海道の高校生は実学志向が強いと言われています。これを踏まえて来年度からコース制を導入したわけですが、これからも実学重視でいきたい。それには、キャリア支援科目や初年次教育の充実が欠かせません。教員と職員の協働も求められます」
地域の課題を解決へ

地域連携は、これまでも大学祭に地元のジャズバンドを呼んだり、秋に「大学開放デー」を設けて講演会を開くなどの活動を行ってきた。「小さな大学にとって、地域の住民のみなさまが大学に関心を持ってもらうことは大事です。本学の学びの特性を生かして、地域と一緒になって地域に関与し、地域の課題を解決するようにしたい」。そして、「地域の皆さんとともに共生しえる社会の実現に貢献したい」と建学の精神で結んだ。