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大学は往く 新しい学園像を求めて

<187>高岡法科大学
学生の夢の実現を支援
1学科3コース  地域の経済・文化発展に傾注

「公務員試験に強い」大学として、学生の夢の実現をサポートする。高岡法科大学(千々岩力学長、富山県高岡市)は、1989年、地方の法学教育の担い手として、北陸唯一の私立大学法学部として開学した。現在は法学部法学科の1学科で、▽公共政策▽法務・資格▽企業人の3コースがある。それぞれの志望進路に応じた科目を設定、2年次進級時にコースを選択。法解釈や法の歴史などを学び、法的思考を育てるとともに、社会、経済の場で活躍できる人材を育成する。平成27年度司法試験に同大の卒業生、森 雅大さんが合格した。3年連続で就職率は100%、公務員試験の強さもあって多くの公務員を輩出している「自ら考え、行動し未来を拓く人材の育成を使命とし、地域に根差し、地域の信頼を得るべく、教育の質を高めていきたい」と語る学長に学園の歩み、改革、これからなどを聞いた。(文中敬称略)

3年連続就職率100% 公務員試験に強い大学

高岡法科大学の母体である学校法人高岡第一学園は、1959年に高岡第一高等学校を創立したことに始まる。「創立者の川原忠平が、人間尊重と教育機会均等の思いを実現するため、『潜在能力を抽出しつつ愛情に導かれる教育』などを建学の精神として設立しました」

高岡法科大学は、法学部法律学科の1学科で1989年4月に開学。人格形成を重んじ、地域社会の経済・文化の発展に寄与する人材育成(全人教育)を具現するのが目的だった。

「それまでの30有余年の実践を踏まえ徹底した全人教育に加えて、法的思考を身につけ、法曹界のみならず国内・国外を舞台に幅広く活躍できる優れた人材の育成をめざしました」

学校法人高岡第一学園は、高岡市内に6つの附属幼稚園・保育園とその指導研究機関として幼稚園教諭・保育士養成所を開設しており、2001年、大学院の開設により、幼稚園・保育園から大学院まで擁する総合学園となった。

2006年、法学部ビジネス法学科を新設、2学科体制となった。2016年、学科を改組して法学部法学科を新設、1学科3コース制へ移行。「現代社会のさまざまな職場で活躍できる人材の育成に努め、社会情勢の変化にも対応できる大学作りをめざしました」

現在、大学には約200名余りの学生が学ぶ。男女比は、男子が8割、女子が2割で、出身地は、富山県内が8割、県外が2割だという。

学長の千々岩が大学を語る。「学生と教職員との距離が近く、少人数によるきめ細かな教育が実践できるのが本学の大きな強みです。また、様々な資格試験などに連続して合格者を輩出、名門国立大学の法科大学院に進学し司法試験合格をめざす学生も増えています」

法学科3コース制は、法学を学ぶ学生の将来の方向性を、一般社会や保護者に明確に示しています。公共政策コースは、行政サービスの担い手、公益を担う各種法人・団体のリーダーとして活躍する人材を育成。公務員(行政職・警察・消防)、公益法人職員、NPO法人職員などをめざす。

「行政、公共政策に関する知識を身につけるとともに、公務員試験対策講座等の特別科目を開講。近年の公務員試験は、面接試験が重要視される傾向にあるため、授業では、教員の話を聞くだけではなく、自分の意見を発表する機会を設けることで、公務員試験対策へとつなげています」

法務・資格コースは、法律家や、法律系の資格を取得し、より専門的な仕事への就職をめざす。法曹(裁判官・検察官・弁護士)や司法書士、行政書士といった専門的な法令を駆使する業界や企業が対象となる。

「授業は、学生のために必要な法知識の修得を目標にしています。法曹以外にも、たとえば不動産会社などで必要となる不動産取引に関する学びがあり、親族法、相続法、保険法などの授業は金融機関で活用できる内容になっています」

企業人コースは、ビジネスに関わる法分野の基礎知識に加え、実務に必要な経済・金融・経営系分野および語学・教養系を含めた広範囲な知識を身につけ、地域経済・社会や国際社会で活躍する人材を育成する。

「企業の法令順守が重要視される時代において、法律の素地がないビジネスパーソンは存在しえません。だからこそ法律を学び、その大切さを知る学生は、企業にとっても貴重な人材として期待されています」

社会人基礎力養成講座を開講するなど、リメディアル教育・初年次教育に力を入れている。「入学前の2ヵ月間、スマホや携帯電話に国語、社会、英語の問題を配信して問題を解いてもらい、回答も送るという入学前教育も行っています」

初年次教育は、入学直後のプレイスメントテスト(基礎学力確認テスト)から始まる。「科目は英語、数学の2科目で、英語はカリキュラム内の英語科目のクラス分けに使用、リメディアル教育と初年次教育を同時進行で行っています」

専門教育は、1年次からのゼミ履修が担う。「演習(ゼミ)を学生指導のベースとし、1年次からの履修を学生に義務付け、ゼミ担当教員は指導教員として履修学生の学業状況把握や進路相談等、学生生活全般のサポートを行っています」

専門学校を凌駕するほど徹底指導するのが、TEC(Takaoka university of law Education for Career)。開設2年目ですが、正規カリキュラム以外に独自のカリキュラムを編成。「就職支援や公務員試験対策、資格・検定対策等に必要な科目を設け、本学の教員がすべての科目を担当、きめ細かい指導ができます」

本学の強い就職力はさらに就職支援センターを中心に、1人ひとりの教職員が、本当に1人ひとりの学生を親身になって指導。3年連続就職率100%という就職実績を上げている。就職先は、公務員のほか、県内の企業が中心だという。

「県内の企業で就業体験をするインターンシップも強化。ゼミを担当する教員が『ゼミ担任』として、将来の進路について相談に乗ったり、アドバイスをしたり、身近な存在として学びと就職をあわせて指導、卒業まで導きます」

「公務員試験」に強い大学。第1回生から平成29年卒業までに、国家公務員、地方公務員、警察官・消防士を合わせて総計375名の公務員を輩出している。公務員採用試験における高岡法科大の強みを聞いた。

「法学部の通常のカリキュラムには公務員試験の専門科目に当たる科目がほとんど含まれ、試験科目の中でも重要科目である数的処理を徹底的に指導。経験豊かな教職員による面接指導も積極的に行っています」

学生のサークル活動。「運動系では、硬式野球、女子柔道、フットサル、空手道を、文科系では、軽音楽、創作、社会安全ボランティア、ガーデニング、光画(写真)、など、活発な活動をしています」

地域貢献。官公庁の各種委員会からの委嘱は数多く、県内高校への出張授業、県内自治体の町づくりへの協力、公開講座、イブニングセミナーなど多種にわたる。

「春と秋の2回、法律や政治経済などテーマを決めて開催します。今年の秋は『経済学入門―経済社会の仕組みを考える―』をテーマに参加しやすい土曜日(4回)に開講しますが、市民の方々に好評です」

大学のこれから。「少子化で学生の数が減るなか、質の高い教育、学生の個性を伸ばす教育が求められています。そのためにも、少人数教育の利点を活かし、1人ひとりを大事に育てていきたい。保護者には、『あの大学に行けば安心だ』と言われる大学にしたい。幸い、卒業生は、楽しい四年間だった、法科大学へ来てよかったと言って巣立っていきます」

こう締めくくった。「地方の大学にとって地域の信頼を得ることは至上命題です。グローバル時代ですが、本学は地域で育て、地域に返す(帰す)グローカルで、地域を大事にして私学の理想に向かって着実に歩んでいきたい」。高岡法科大学は、グローバル化を見据えつつ、地域に根差した大学をめざす。