特集・連載
大学は往く 新しい学園像を求めて
<55>平成国際大学
公務員試験に強い大学めざす
少人数教育で個性引き出す スポーツ各部も健闘
「学生を、思う。」をモットーに、少人数教育によって学生の内在する可能性を引き出す。平成国際大学(堂ノ本 眞学長、埼玉県加須市)は、公務員試験に強い、スポーツに強い大学を目指す。法学部1学部の大学で、法律一般、政治行政、経営法務、スポーツ福祉政策の四つのコースで学ぶ。担当教員による個別指導で法学的素養を身につけ、ビジネス、行政、福祉など、様々な分野で社会に貢献できる人材を育成する。少人数教育は、1・2年次から20人未満のクラスに所属し、ゼミ形式で学ぶのが特長。1年次から「キャリア支援科目」を導入など、早期からの就職対策を実施。「公務員試験合格支援プログラム」を設け、警察官・消防官に多数の合格実績を誇る。陸上競技部、サッカー部、硬式野球部などのスポーツは全国クラス。新学長に、これまでの大学の歩みと、大学のこれからを聞いた。
(文中敬称略)
「学生を、思う。」がモットー
キャンパスは、関東平野に大きく広がる。広さは東京ドーム全体の4個分の約15万平方メートル。天皇杯に出場したことのあるサッカー部が使うサッカー場は公式戦にも使用できる。陸上競技場、野球場など充実した施設を完備している。
平成国際大学は、1996年、法学部(法政学科)1学部で開学。同大を運営する学校法人佐藤栄学園は、埼玉県内に小学校、中学校、高校、大学、専門学校、法科大学院を擁する総合学園。
2000年、法ビジネス学科を設置。07年、既存の2学科4コースを1学科3コース(法学科法律一般コース、政治行政コース、経営法務コース)に改組した。
08年、法学的素養を身につけ、実務能力に優れたスポーツのスペシャリストを養成する「スポーツ福祉政策コース」を新設した。現在、1学科4コースに979人の学生が学ぶ。
学長の堂ノ本が大学を語る。「本学は、21世紀を創造する若者を育成するための大学として開学。創設の理念は、建学の精神『人間是宝』に立脚しています。世の中に宝と呼ばれるものは数多くありますが、『人』以上の宝があるでしょうか」と述べ、こう続けた。
「学生一人ひとりが無限の可能性を秘めています。大学は学生たちの可能性を開発する学びの場です。本学では、わが国の唯一の資源である『人』を『生きた資本、資産』ととらえて、新しい時代が求める有為の人材を育てたい」
法学部1学部の学びについて。「1、2年次の教養・基礎教育の上に、進路選択に合わせて3年次以降、専門科目を履修します。各コース間の履修制限を緩やかにして、多様な組み合わせの履修が可能です」。四つのコースを説明する。
「法律一般コースでは、法律に関する様々な分野を幅広く学び、グローバル化の進む複雑な現代社会に通用する法律の実務家の養成を、政治行政コースでは、政治・行政に関わる様々な分野を学び、グローバルな視野を持って国や地方の発展に寄与できる人材の養成をめざします。
経営法務コースでは、国際化の進展を視野に入れながら、企業実務に必要な経営と法に関する実践的知識の習得を、スポーツ福祉政策コースではスポーツの技術やスポーツに関する知識に加え、スポーツ政策や福祉施策に関して法学的素養を備えた人材の養成をめざしています」
少人数教育について聞いた。「1学年約300名で、少人数制をとることにより、ほとんどの学生の名前と顔を把握することができます。教員、先輩との距離も近く、友達や教員、先輩との交流の中で充実した大学生活を送ることができます」
具体的には?「1年次には、全員が20人未満の人数で構成される基礎演習のクラスに所属します。基礎演習では1年間を通して法学の基礎をしっかりと学び、実社会で役立つ一般教養にも磨きをかけます」
「担当教員は学生の生活のアドバイザー役として学生に深く関わり、就職はもちろん、学生生活の不安や悩みごとなどの相談にも対応しています」
就職について。「コース別にみると、法律一般、政治行政は公務員志望が多い。経営法務は一般企業、スポーツ福祉政策は、スポーツのインストラクター、スポーツ関連企業などに進む学生が多い」
正課にキャリア教育
同大の特長は、正規カリキュラムにキャリア教育を組み込んでいる点だ。「どのような社会人になりたいのか、どのような人生を送りたいのか」など生涯にわたる生き方や進路、それに応じた知識や能力について、系統的に科目を配置する。「キャリア・アップに必要な科目を授業で履修できる正課授業と、就職活動を計画的に進めるために必要なガイダンスやセミナーからなるキャリアセンター主催講座を中心にして、就職活動をトータルにサポートします」
3年次の秋から1月までは「就職支援プログラム」を開講。公務員試験、各種資格試験突破のための対策講座や、多岐にわたる業界から講師を招いての業界研究セミナーの開催、筆記試験や面接試験の突破法などを具体的に指導する。
警察官・消防官に多数合格の実績は、雑誌によるとこうだ。大学別の卒業者に占める警察官採用ランキングで全国2位(平成21年度卒業生)〈『週刊エコノミスト』調べ〉、大学別の卒業者消防官就職率ランキングで全国3位(平成22年度卒業生)〈『週刊ダイヤモンド』調べ〉。
独自のプログラム用意
この実績は、「公務員試験合格支援プログラム」に因る。「公務員を目指す学生に、1年次から、このプログラムを開設。学生の目標に応じて国家公務員・県庁・市役所セクションと警察官・消防官セクションに分け、採用試験の合格をサポートします」同プログラム専用の学習室を用意、担当の指導教員、相談員が、最新の情報を提供する。さらに、LEC(東京リーガルマインド)との提携により、公務員受験予備校と同様の公務員試験対策講義を学内で、特別料金で提供しているという。
スポーツ各部の活躍は小さな大学では白眉。先のロンドン五輪では、ウエイトリフティング部の水落穂南選手(2年生)が女子48キロ級で6位入賞に輝いた。陸上競技部は、創部4年で箱根駅伝に出場。硬式野球部、サッカー部、柔道部、剣道部なども強豪である。
地域貢献活動も活発
地域貢献も活発。地元の加須市騎西の旧騎西高校には、福島原発被害の福島県双葉町の住民が避難している。「引越しのさいには学生延べ数百人がお手伝いしました。メンタルケアでは本学の教員がサポートしています」。加須市の主催する「シニアいきいき大学」の自然科学部健康科学と社会科学部現代社会の各コースでは同大教員が講師を務める。
大学のこれからを聞いた。「少子高齢化、社会構造の変化のなか、財政基盤を強化し、新たな改革プロジェクトを立ち上げたい。学生のニーズに応え、学生の満足度を上げる改革になる。教育研究活性化のためにも、積極的に新たな大学像を世に問うていきたい」
面倒見のいい大学に
こう続けた。「『学生を、思う。』を合言葉にして、面倒見のいい大学を目指します。教職員は、学生を温かく包み、時には厳しく指導し、サポートしています。恐れず、ひるまず、問題意識を持ち、常に創造・挑戦し、前へ進もうとする学生を歓迎します」就任間もない学長の堂ノ本のモットーも、「学生を、思う。」だった。