キャンパス万華鏡
学園草創期編
学園草創期編では、各大学の草創期に想いを馳せてみましょう。創立者の偉大な意志、建学の精神に至るまでの想いのほかに、知る機会の少ないエピソードを募りました。創立者の横顔から、今ある大学の横顔を連ねてみると、これまで知らなかった学び舎の奥深さが見えてくるかもしれません。
東京電機大学
丹羽保次郎とファクシミリ
ファクシミリ開発者が、東京電機大学の初代学長の丹羽保次郎である。
1928年、新聞各社は、京都で行われる昭和天皇の即位式である大儀礼をいかに早く東京に伝えられるか、特に天皇の写真の伝送方法で悩んでいた。
その中で朝日新聞社はドイツのコルン式を採用。一方、大阪毎日新聞社はフランスのベラン式を採用したが、テストで思うような画像が送れない。そこで大阪毎日新聞社はベラン式をあきらめ、日本電気に在職していた丹羽保次郎が開発したNE式写真電送機を採用することを決定。
欧米からの技術導入が中心だった当時、日本の技術を採用するのは大きな賭けでもあった。
11月6日、天皇を乗せた馬車が京都で行われる大儀礼に向け皇居を出発。丹羽保次郎はこの写真の大阪伝送に成功。そして翌日行われた京都での大儀礼の写真も見事、東京伝送を成功させた。
これをきっかけに、日本の写真電送機は世界で認められるようになり、現在世界中で使われているファクシミリとなった。