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研究成果等の刊行

No.39(2010.08)

「『教育安心社会』と学校・職業の接続」

講演者:惣脇 宏

はじめに

私学高等教育研究所主幹 瀧澤 博三

 近年、経済の長期低迷や雇用状況の悪化などが、教育の世界にも様々な問題を投げかけています。こうした中で、昨年、文部科学省の有識者懇談会と中教審とから、それぞれ重要な政策提言が出されました。1つは、「教育安心社会の実現に関する懇談会」の報告(21.7.3)で、これは特に家計負担の軽減に焦点を当てて教育費のあり方を論じたものです。もう1つは、中教審への昨年末の諮問「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」に対する審議経過報告(21.7.15)です。
 前者は、先進国の中でも、教育への公費支出割合が少なく家計負担が大きいと言われる日本の教育費の構造の中で、最近の所得格差の拡大が教育の機会均等を揺るがせているという危機感を背景としており、後者は、フリーターや若年無業者の増加、新卒の早期離職など、学校から職業への移行が円滑に行なわれていないという問題意識が根底になっています。
 これらは、一方は財政論、一方は制度論が中心で、問題の領域は別ですが、経済・社会の急激な構造変化によって日本の社会の安定感、一体感が損なわれつつあるのではないかという懸念を根底にしている点では同根の重要な課題だと考えられます。文部科学省の中では両者とも生涯学習政策局の担当ですので、第41回公開研究会では、生涯学習政策局の生涯学習総括官として両報告の審議に係ってこられた惣脇 宏 氏(現放送大学学園理事)にこれらの解説をお願いしました。
 この冊子は、当日の講演の内容を収録したものですが、今後に重要な政策展開が予想される課題ですので、広く関係の方に参考にしていただければ幸いです。

  1. 惣脇  宏 氏 (放送大学学園理事)
    【講演】「『教育安心社会』と学校・職業の接続」(PDF形式)

*** 「関連資料」部分等は割愛しました。 ***