特集・連載
税額控除関係
学校法人の税額控除要件見直しの動向
Q&A 現行の税額控除制度適用へ向けて
学校法人に対する個人からの寄附に係る所得税の税額控除制度が6月から導入されており、従来の所得控除との比較やそのための学校法人がクリアしなければならない『要件』について、本紙10月5日号(3面)で詳報した。
一方、平成24年度の税制改正要望として、全私学連合は、少額寄附者からの寄附を募集しやすくなるように、『要件』(要件①:3000円以上の寄附者が年平均100人以上、要件②:経常収入金額に占める寄附金収入金額の割合が20%以上など)の撤廃を要望しており、10月13日開催の民主党文部科学部門会議では、税制改正要望の重点要望項目として「税額控除要件の見直し」が他団体等の要望とともに取り上げられ、民主党税制調査会に提出される段取りとなっている。
私学関係者は、この『要件』の撤廃・見直しによって、幼稚園から大学までの小規模学校法人等が、より多くの個人からの"草の根"寄附が集めやすくなることを望んでいる。
ところで、現状の要件の下で寄附者に税額控除制度を適用するための証明に係る、学校法人の申請手続きについて、文科省は『Q&A』を公表しており、積極的な検討を促している。その中からいくつかを紹介する。
〈学校法人に対する個人からの寄附に係る所得税の税額控除制度を適用するための証明に係る申請手続きに関するQ&A〉
【要件①(3000円以上の寄附者が年平均100人以上)について】
Q:匿名寄附者はどうカウントするのか。
A:寄附者は氏名・名称、住所・所在地等が明らかな者のみしかカウントできない。
Q:カウントから除外される「法人の役員」には、評議委員選出の役員は含まれるか。
A:評議員はカウントできるが、評議員の中から役員として選出された者はカウントできない。
Q:任意団体である「同窓会」や「父母会」が一括して寄附する場合のカウントはどうなるか。
A:まとめて寄附した場合は、その代表者のみ一人としてカウントされる。ただし、個々の寄附者の氏名・住所・日時・金額が確認できれば、個人の寄附者一人ずつとしてカウントできる。
Q:新入生や保護者から入学後にもらう任意寄附は、「入学時寄附」とされて、カウントできないか。
A:入学と相当の因果関係があると見なされ、入学願書受付の開始日から入学が予定される年の年末までの期間内に納付した寄附金は、カウントできない。ただし、入学決定後に募集開始したもので、新入生以外の者と同一条件で募集するものはカウントできる。
Q:教職員はカウントしてよいか。
A:カウントできる。ただし、その教職員が学校法人の役員である場合はカウントできない。
このほか、前述の〈要件②〉に係るもの、実績判定期間、所轄庁への申請書類、税額控除対象法人の証明などについて、同省高等教育局私学部私学行政課法規係まで問合せを。(℡03-5253-4111、内線2532)