日本私立大学協会創立70周年記念事業
創立70周年記念式典
日本私立大学協会(大沼 淳会長)の創立70周年記念式典は、1日午後4時30分から、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷5階「大雪」をメイン会場に、「穂高」が第二会場で行われた。加盟校の代表者や文部科学省幹部、大学関係者など出席者は400人を超えた。
小出秀文同協会常務理事・事務局長による司会で、記念式典は、式典担当部会長の黒田壽二同協会副会長(金沢工業大学学園長・総長)の開会の辞でスタートした。黒田副会長は「多数の皆様のご臨席を心より御礼申し上げます。我が日本私立大学協会は昭和21年に創立して以来70年間、微力ながら日本の高等教育の発展に寄与できたのも、皆様方のご指導とご支援の賜物です。70年の協会の歴史と私立大学の来し方を回顧、反省しながら今後の私立大学の在り方を考えていきたい」と述べた。出席者全員による国歌斉唱、同協会の発展に尽力を頂き亡くなられた物故者に対する慰霊黙祷のあと、大沼会長(文化学園大学理事長・学長)が挨拶に立ち「創立70周年にあたり、『多様な価値追求と創造的挑戦』をスローガンに掲げた」と力強く式辞を述べた。
「日本私立大学協会は終戦直後、国家の再建・復興は教育にあるという理念をもとに誕生した。発展を遂げ、私立大学の地位向上と教育学術文化の振興に寄与し、いまでは加盟校も407大学になった。加盟校の各私立大学は、建学の理念を基に多様な教育と高度な研究力で社会に貢献してきた。いま、社会は少子高齢化、グローバリズム、第四次産業革命を前に変革が迫られている。昨今の国立大学と私立大学の公財政支出の13倍もの格差、私大経常費の補助割合が10%を割り込み9.9%に落ち込むなど、特色ある教育を行い、社会貢献する私立大学に大きな影響を与えている。社会的な効果を考えると、公的財政支出や私学助成は大胆に拡充すべきである。まさに、高等教育のパラダイムシフト(構造的大転換)が焦眉の急である。私立大学の先人に思いを致し、私立大学の精神を堅持し、新たな高等教育の制度の構築に全力を尽くしたい」
続いて、来賓紹介があり、最初に、松野博一文部科学大臣が次のような祝辞を述べた。「日本私立大学協会が創立70年を迎えたことをお祝いしたい。昭和21年、私立大学の地位向上と共通の課題解決を目指し、高等教育の発展に寄与してきた。現在、少子高齢化、コミュニティーの崩壊、自然災害、世界各地の紛争などがあり、もう一歩踏み出すことが求められている。政府一丸となって一億総活躍社会を実現させるには教育に対する期待が大きい。変化が大きな時代、人を育てることが肝要で、未来は教育にかかっている。日本の大学の8割を担う私立大学、その個性豊かな教育研究は重要である。日本私立大学協会が伝統と実績のうえ、さらに一層の発展を祈念したい」
松野大臣に続き、鎌田薫全私学連合代表、日本私立大学団体連合会会長(早稲田大学総長)が祝辞を述べた。「日本私立大学協会は創立以来、私学振興助成法の制定や税制改正要望など全国の私立大学の振興・発展に寄与してきた。日本私立大学連盟と強固な提携関係を築き、有余な人材育成を育て、教育研究面でも貢献してきた。特に、地方の中小規模の私立大学支援、地域活性化など地域や地方の大学への貢献は意義深いものがある。変化が激しいなか、どんな変化にも先見性で柔軟な対応ができるのが私立大学で、特に、公的財政支出の拡充は必要不可欠。教育は国家百年の大計でもある。日本私立大学協会とともに、高等教育の発展のため全力を尽くしたい」
来賓祝辞のあと、創立70周年にあたって、同協会の決意、誓いを示す「日本私立大学協会創立70周年決意表明」が佐藤東洋士同協会副会長、70周年記念事業実行委員会委員長(桜美林大学理事長・総長)によって宣言された。
厳かにも晴れやかに執り行われた日本私立大学協会70周年記念式典は、赫 彰郎同協会副会長(日本医科大学理事長)の「松野文部科学大臣、鎌田全私連代表から心温まる祝辞をいただき感激しています。本協会加盟407大学の連携を強化して『決意表明』を実現したい」という閉式の辞で滞りなく終了した。
「変革の時代、いま、まさに、高等教育のパラダイムシフト(構造的大転換)が焦眉の急である」という大沼会長の言葉が日本私立大学協会の70周年の現在(いま)と将来(これから)を象徴していた。
創立70周年記念祝賀会
日本私立大学協会(大沼 淳会長)の創立70周年記念祝賀会は、12月1日午後6時から、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷3階「富士」で行われた。加盟校の理事長・学長ら幹部、国内外の大学関係者、国会議員、文部科学省の幹部ら650人が出席、立錐の余地もないほど盛況だった。
日本私立大学協会の創立70周年を祝福する厳粛な会場に、トランペットの高らかで清冽な音色が響き渡った。武蔵野音楽大学の学生によるファンファーレで創立70周年記念祝賀会は始まった。
小出秀文同協会常務理事・事務局長の司会のもと、大沼会長の「戦後の焼け野原のなか、私学の先輩たちは日本の復興のため高等教育をどう再興するかと立ち上がった。本協会が結成された当時は国立大学ばかりだった。いま、本協会は多様な力、能力を持つ人材を育成、加盟校は400大学を超えるまでになった。国会議員の先生や文部科学省の幹部の皆さんはじめ、このように多くの方々にお越しいただいて記念祝賀会が開けることはうれしく、心から感謝したい」という挨拶で開宴した。
政界からは、私学振興協議会の代表を務める河村建夫衆議院議員(元文部科学大臣)が来賓の祝辞を次のように述べた。「日本私立大学協会の創立70年をまずお喜びしたい。戦後から70年、私立大学は多くの人材を輩出、この国を支えてきた。いまの安倍内閣をみても、しかりである。私は国会議員になり文教一筋に26年やってきた。いま、大学の7割以上が私立大学であるが、最近、私学予算が抑え込まれている。OECD調査でも低い点は重く受け止めている。大学進学率は必ずしも高くはない。もっと大学で学べる環境をつくっていきたい。2分の1補助を目標とする私学振興助成法の精神に近づけるべく頑張りたい」
財界からは、中央教育審議会会長を務める北山禎介三井住友銀行取締役会長が、来賓の祝辞を述べた。「日本私立大学協会が創立70周年を迎えたことを心よりお喜び申しあげます。記念の祝賀会に招待されたのは光栄であります。私立大学は長年、建学の精神に基づき、国の高等教育を担い、多様な人材を輩出、産業経済分野に貢献してきた。中教審でも高等教育機関の役割を審議してきた。私学の役割を踏まえ、特色ある教育研究に自主性を尊重して展開してほしい。これからも私大の持続的発展の担い手となるようサポートしてほしい。一緒に優れた人材を育成し、世界に貢献するよう、心から願っています」
来賓紹介に移り、衆参の国会議員、文部科学省の幹部、関係団体の幹部らが紹介された。こうした来賓の代表、同協会の会長、副会長、包括協定を締結したASEANなどアジア各国からの賓客が壇上に上がって、「鏡開き」が盛大に行われた。
福井直敬同協会副会長(武蔵野音楽大学理事長・学長)の音頭で乾杯が行われ、出席者は挨拶したり、談笑したり、飲み物や料理を手にして氷の彫刻の飾られた会場を行き来していた。しかし、会場は人の波で移動は大変だった。
祝宴が始まった会場では、同協会や加盟校を紹介した映像が流されていた。
祝電披露があり、中締めは、村崎正人同協会常務理事(徳島文理大学理事長・学園長)が行い、祝賀会は晴れやかななか、祝福に包まれながら滞りなく閉宴となった。